Contents
日本翻訳大賞とは?
第九回日本翻訳大賞に当社がローカライズを行ったゲームがノミネートされました。第一回から第八回の開催までのノミネート作品は全て書籍であり、今回弊社がローカライズしたゲームが初めて、書籍以外の翻訳物としてノミネート頂いております。そんな、日本翻訳大賞とは、12月1日から翌年12月末までの間に発表された翻訳作品の中から一般読者の公募を実施し、最も賞賛したい作品に贈られている賞です。この団体は一般読者の支援を受けて運営されています。
ノミネートされているゲームは?
©2022 ZA/UM. Disco Elysium: The Final Cut and ZA/UM logos are trademarks of ZA/UM. All Rights Reserved.
『ディスコエリジウム ザ ファイナル カット』
プラットフォーム:Nintendo Switch™ / PlayStation®4 / PlayStation®5 / Steam®
発売日:2022年8月25日(日本国内CS版)
ディスコエリジウム ザ ファイナル カットとは?
エストニアの小説家Robert Kurvitz氏によって脚本されたゲーム。戦闘よりも複雑な対話やスキルに大きく依存したストーリーベースなゲームシステムが採用されています。ストーリーはソ連時代の世界観と、ミステリーを軸に政治、薬物、アルコール依存症などのセンシティブなテーマも扱っている。また、本作はプレイヤーの選択肢によってストーリーが分岐するため、ワード数は100万ワード超えと、超大作小説並みの重厚なストーリーとなっております。そのため、日本語にローカライズすることは不可能と言われていました。
こちらの画像は当社の名前、当社PMの名前がクレジットされたエンドロールです。
日本語化に徹底した約10ヶ月
約100万ワード超えの本作の日本語ローカライズ期間は、10ヶ月という少ない作業時間の中で、原作が持つニュアンスを可能な限り正確に伝えるための日本語化を徹底しました。
単語の持つ意味を注釈に加え、放送禁止用語とされる単語は伏字で対応しました。また、今回ご好評頂けたのは、翻訳作業後に『LQA』の重要性を提案させていただき、ご導入頂いたことも要因のひとつです。
LQAとは?
『Linguistic Quality Assurance』の略称であり、直訳すると『言語品質保証』という意味である。その意味の通り、ゲームの多言語展開時には対象言語の品質向上及び、品質管理にはかかせない作業です。
「状況や背景に沿ったテキストであるか?」「誤字脱字やスペルミスはないか?」「自然な表現であるか?」などローカライズの品質を保証するものや、改行処理やアイコンの見栄えなど、見た目の可読性などのチェックをしています。
以前、LQAについて詳しく言及したブログはこちらです。
ユーザーさまから頂いているご好評の声
本作は普段から小説を嗜むユーザーさまが多くプレイしていることもあり、ゲームローカライズ専門会社の弊社としましても、リリース時は受け入れていただけるか不安でした。
しかし、そんな不安もよそにリリースから半年以上経った今も、Twitter上で翻訳についてご好評の投稿を頂いていております。
Disco Elysium面白すぎてBlenderやる時間が無い
翻訳がとにかく素晴らしくて長文読んでても全く苦にならないしキャラクターから逸脱した口調も無い
こういった翻訳すると意味が通らなくなる部分では訳注も入れてくれたりとにかく翻訳が素晴らしい#ディスコエリジウム#DiscoElysium pic.twitter.com/q39EVJfbcH— つっきー (@ronpte_) August 31, 2022
RTわー、すごい!
ディスコエリジウムが日本でもかなり話題になって売れたのは、質の高い翻訳のおかげだと思う。文学的価値を損なうことなく翻訳で伝えることがゲームの売上にも繋がるのを示せたのは良かったな。DEだけでなく、今後のゲーム翻訳にとって大きなマイルストーンとなる作品だと思ってる。— ashi_yuri (@mattakushiranai) January 22, 2023
日本の大手メディアからも称賛頂きました
翻訳・LQA作業ともに膨大なテキストが故に、様々な紆余曲折もありましたが、『ディスコエリジウム』リリース時には、日本の大手メディア様からもローカライズについて称賛していただきました。いくつか記事を引用させて頂きます。
IGN Japan様
人間にできる最高の仕事のひとつだ。読者に遠慮せず、難しいところは難しいまま、意味の通りにくいジョークもできるだけ素直に。ときにはさり気なく意味の裂け目に接ぎをあて、突き放すところは突き放す。それは単純に見えて、じつに困難な、心のこもった作業だ。
Gamer様
凄まじいテキスト量にもかかわらず、本作ではいまのところ誤字をまったく見つけていない。この点からも、本作のローカライズが如何に心を砕いた丁寧な仕事の上に成り立っているかが察せられる。本作は評価の高まりから日本でも知名度が上がり始めたころ、そのテキスト量と翻訳の難しい表現の多さから、日本語ローカライズが困難なゲームであると言われていた。そしてローカライズの質がそのまま体験の質に直結するタイプのゲームであるため、日本語化が決まってからも、そのクオリティを不安視していた人は少なくなかったと思う。
そんな当社がローカライズを行ったゲーム『ディスコエリジウム』の翻訳大賞についての動向ですが、2023年1月15 日(日)から1月31日(火)24時までは公募期間中です。今後の続報をご注目頂けると幸いです!
ぜひ、今後の続報をご注目いただけると幸いです!