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ローカライズ / ローカライゼーションとは?
はじめに、「ローカライズ / ローカライゼーション」とは、英語の “localize / localization” から来た用語で、あるコンテンツやサービスゲームなどを国際展開する際に、世界中の地域に合わせた内容にすることを意味します。「言葉の意味のまま翻訳をする」こともローカライズの一部に含まれますが、ただ翻訳するだけでなく、対象地域との文化的な違いに合わせて内容を調整したり、地域別に合わせた法律や表現規制の遵守、地域別の購買意欲に合わせた商品展開の変更などが「ローカライズ」とされています。主に、海外展開する企業や国際的なプロジェクトにおいて、その地域に根ざした製品やサービスを提供するために行われます。ローカライズによって、その地域の消費者にとって理解しやすく、利用しやすい製品やサービスを提供することができます。
日本国内におけるローカライズの歴史
日本国内におけるローカライズの歴史は、1950年代に始まったとされています。当初は、主に軍事・政治目的で、米軍が日本において通訳や翻訳などを行い、日本語の資料を英語に翻訳するために行われていました。そこから、多くの外国籍企業が日本に進出する際の通訳や、海外製品の翻訳などを始めたとされています。1960年代には、日本のアミューズメント産業が急成長したことを受けて、多くのエンタメコンテンツが海外展開のため、日本語から英語へ翻訳を始めるようになりました。そこから、製品やサービスをその地域の言語にすることはもちろん、文化や、生活習慣に合わせたものに変更する必要性が生じ、翻訳するだけではない「ローカライズ」の需要が高まっていきました。
ローカライズとはどういう意味?語句の起源は?
「ローカライズ」の意味を、語句の起源からご説明します。ローカライズとは、英単語”local”「ローカル」から派生したものとされています。この「ローカル」の意味とは、(場所の)(土地の)((特定の)地方の)(地元の)(一地方特有の)(特定の地方向けの)という意味です。そして、語尾に付いている”ize”の意味は「〜になる、〜化する、〜する」と言う意味になります。 普段は名詞である単語に”ize”を付けることによって動詞になります。 それに加えて、”ize”を”ization”にすると名詞になります。 しかし、意味は「〜すること」と言う名詞になります。
翻訳とローカライズの違いと、使い分けとは?
次に、翻訳とローカライズは似たような意味でありますが、製品やサービスの用途によって目的が違うため差別化されています。
翻訳
用途:公文書、法的文書、成分表、医療系資料、学術研究などのレポートなど
翻訳は、ある言語から別の言語に文章を「できるだけ同じ」意味で転写することです。翻訳は、文法、語彙、および構造を考慮して行われ、元の文章と全く同じ意味を伝えることを目的としています。
ローカライズ
用途:ゲーム、アニメ、マンガ、広告、ソフトウェアアプリ、Webサイトなど
ローカライズは翻訳に加えて、ある地域の文化的な背景、慣習、法律、などに適応するために、地域に適した画像、色、通貨、ジェスチャー、および文化的な要素を考慮することを指します。対象地域の顧客により受け入れられやすくなることを目的としています。
ローカライズの重要性とは? ゲームローカライズの事例をご紹介!
次に、日本国内ではごく一般的なシチュエーションや、シーンに見えても海外から見ると信じられない行為に見えたり、規制の対象になることが多々あります。そんな、思ってもみない文化の違いや、意識の違いなどの事例を交えながら、ローカライズの重要性をご紹介します。
ゲームでローカライズが重要な場面1:流血表現
流血表現の規制がある地域では、色や描写自体を変更します。
ゲームでローカライズが重要な場面2:肌の露出
肌の露出が規制される地域では、服を着せるか描写を消したりします。
ゲームでローカライズが重要な場面3:未成年者の飲酒&喫煙
未成年者の飲酒や喫煙表現が含まれる表現の規制が厳しい地域では、素材を変更するか描写を消します。
ゲームでローカライズが重要な場面4:ハンドサイン
ドイツなどの一部地域では挙手のポーズは、犯罪行為になるほどタブー視されています。
この場合の多くは、人差し指を上げるポーズに変更したりします。
ゲームでローカライズが重要な場面4:ジェスチャー
インドやパキスタンなどの一部地域では、首を振る否定のジェスチャーが肯定の動きになります。
これらの地域は肯定と否定の動きが同じですが、首を振るスピードなどが違うため表現に合わせて変更したりします。
ゲームでローカライズが重要な場面4:シチュエーション
一部地域では、異性の親子が入浴をすると性的虐待で逮捕される事例があります。
それほど、違和感のあるシチュエーションであるため、この場合は描写を変更するか消したりします。
これらの例はたった一部分であり、思ってもみない意識の違いや、文化の違い、歴史的背景が世界中には溢れています。
同じ言語の中でのローカライズ
次に、ローカライズの必要性を表す事象として同じ言語の中でのローカライズが必要なケースをご紹介します。突然ですが、南米でもスペイン語が話されていることはご存知でしょうか?また、スペイン語を話すとされている地域は主に、スペイン、アルゼンチン、ボリビア、チリ、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、ガテマラ、ホンジュラス、メキシコ、ニカラグア、パナマ、パラグアイ、ペルー、プエルトリコ、ウルグアイ、ベネズエラとして、一般的には認知されています。ですが、厳密にご説明すると、同じスペイン語に聞こえて実際に話している言葉に違いがあります。そんなローカライズ時には必要になる(地方語)ですが、実際の違いをご紹介します。(※アルゼンチン、メキシコのみ)
例えば、上記画像のように、Tシャツという単語を地域別のスペイン語に翻訳すると‥
- アルゼンチンでは:Remera(レメラ)
- スペインでは:Camiseta(カミセタ)
- メキシコでは:Playera(プラジェラ)
以上のように、一つの単語でもかなりの相違がございます。ちなみに、メキシコでTシャツとされる”Playera”ですが、スペインのスペイン語ではビーチサンダルとして話されることもあるそうです。というのも、スペイン語で”Playa”がビーチを意味する単語であり、ゆえにメキシコではビーチが派生し「ビーチに行くような軽装のこと」を表したものとして”Playera”として使用されるようになったのかも知れません。
これらのことを踏まえて、同じ言語に思える言語でも地域毎にかなりの相違があり、ローカライズの必要性を理解頂けたかと思います。さて、これまでのローカライズの説明を踏まえた上で、次は実際にローカライズをすることによってもたらされるメリットもご紹介します。
ローカライズのメリットとは?
1.地域に合わせて広告手法を変更することで、ビジネスの成長を促進できる。
というのも、地域によっては顧客ニーズが異なる場合があります。例えば、上記画像のように映画の広告デザインにも、日本国内と米国内において意識や認識の違いがあります。そういったことから、対象地域の消費者に合わせて広告をローカライズすることで、訴求効果を高めてビジネスの成長を促進することができます。
2.製品やサービスがより利用しやすくなり、顧客満足度が高まる。
なぜかというと、地域ごとに通貨の表示対応をしたり、UIを調整したりなど地域の顧客ニーズに応じた対応が行われるため、顧客満足度が高まります。同時に、対象地域でのビジネス拡大にもつながります。さらには、製品やサービスが地域の文化や言語に合わせて調整されるため、利用者がより理解しやすく、使いやすくなります。
3.地域における法律や規制に適合することで、法的リスクを回避できる。
実際に、地域によっては法律や規制が異なる場合があります。例えば、プライバシーや個人情報保護に関する規制、広告の規制に関する法律などです。ローカライズによって、その地域における法的な問題を回避できるため、企業にとってもリスクマネジメントとして重要です。
4.地域の文化的な差異を尊重することで、地域社会との関係を築くことができる。
ローカライズをすることにより、toC領域のビジネスではユーザーとの関係を築きやすくなるため、顧客ロイヤリティを生み出しやすくなります。また、toB領域でも、地域社会との関係を築きやすくなるため、企業同士での信頼関係や協力関係を構築することができます。
ローカライズに必要なスキルとは?
これらのことを踏まえた上で、実際にローカライズをする際に必要なスキルをご紹介します。
・言語能力
ローカライズには、原文から他言語に翻訳するスキルが必要です。そのため、外国語への翻訳スキルは必須となります。
・ネイティブスピーカー
弊社が推奨しているのは、対象言語のネイティブスピーカーであることです。文法や表現などその言語のニュアンスや文化を正確に理解している事はもちろん、ローカライズには大切な、不自然な表現や「違和感」に対する気付きも必要となるからです。
・CATツールの使用経験
ローカライズを効率的に行うためには、CAT(Computer-Assisted Translation)ツールを使用することが一般的です。そのため、CATツールの使用経験があることが望ましいです。
・プロジェクト管理スキル
多言語のローカライズプロジェクトには、多くのタスクやステークホルダーが関わってきます。そのため、タスク管理のスキルが必須となります。
ゲームなどのエンタメコンテンツのローカライズ時に欠かせない認識
これまで、ローカライズの重要性やメリットはご説明してきましたが、最後にエンタメコンテンツのローカライズ時には絶対に欠かせない共通認識を1つご紹介。それは、制作者様、開発者様の思いを汲み取り、ユーザー視点を持つこと。なぜなら、ローカライズによる恩恵を受けるのは紛れもなくユーザーであるからです。そして、ローカライズを必要とするエンタメコンテンツは人々が楽しみ、ワクワク、ドキドキさせ、感情を豊かにさせるものです。ただ直訳しただけの不自然なものは、高く感情を揺さぶることは出来ません。制作者様や、開発様が魂を込めて作られたエンタメコンテンツは、情熱を持って翻訳=ローカライズすることで、魂を伝えられるものになります。
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